映画『ヒステリア』感想 あの「大人のおもちゃ」の誕生秘話、なのに清々しさ満点!

映画『ヒステリア』(原題:Hysteria)観ました。

「大人のおもちゃ」バイブレーダーがこの世に誕生するまでを描いた作品。

そんな風に言うと、ゲスい男どもが研究室でゲスい顔をしながらゲスい話題を繰り広げるような展開を想像する方もいるかもしれません。(偏見)

しかしこの映画は違う。

圧倒的に爽やかでイケメンで明るい!!!

何より面白い!!

鑑賞中、鑑賞後。きっとずっと朗らかな気分で居られることと思います。

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ストーリー

舞台は19世紀末のイギリス。

医療において、細菌の存在がまだ「説」と言われたり、「包帯?付けっ放しでええねん」と言う医者が多くいる時代。

主人公の若手医師モーティマーは非科学的な医師と意見が食い違い、冒頭から病院をクビとなる。

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ヒュー・ダンシー演じる彼が若手のイケメン医師であることがミソである。

 

そんな中、彼を受け入れてくれたのが女性医の第一人者であるダリンプル医師

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 彼は当時女性の半数がかかっていると言われた「ヒステリー」の治療を行なっていた。

その治療方法とは、医師の指で(衝撃)、女性を快感に導き一時的に感情の解放を促すこと。

もうとにかく「人を助けたい!!」「役に立ちたい!!」と言う爽やかモーティマーは彼の助手として住み込みで働くことを即決。

若くてイケメンなモーティマーの登場に元から列の絶えなかったクリニックはさらに評判が上がっていく。

患者は喜んでくれるし、ダリンプル医師も彼に対し、将来はここを継いで欲しい、自慢の娘エミリーを嫁にもらってくれと言うほど信用するし、人生ノリに乗ってきたモーティマー。

 

しかし何十、何百と女性客の治療を行ううちに、(当然ながら)モーティマーは手を痛め、常連のおば様を怒らせ、結果クリニックをクビになってしまう。

 

悲しみにくれるモーティマー。

しかし、発明を趣味とする裕福な友人エドモンドの家で、ふと手にとってみた発明品「電動羽はたき」を痛む手に当ててみると衝撃が走る。

 

なにこれ超気持ちいイイ…!!

 

後世のバイブレーダーが医療用器具として誕生した瞬間なのであった…

 

 

なぜこんなにも爽やかなのか

冒頭にも記したように、この映画はとてつもなく爽やかであり朗らかであり、もはや可愛らしいんですよね。その理由を考えました。

登場人物がとにかく真剣

真剣かつ、善人。

医師が女性器を触って快感を促すなんて、それがヒステリーの治療になるなんて、今の私たちにとっては「ちょっwまっw」的展開。

しかも正直一日何人もの女性の「治療」を行うなんて、女性の私にしたって想像を絶します。男性なら考えただけでも手首が痛むであろう。

ですがそんな治療だって、ダリンプル医師もモーティマーも真剣そのもの。

どんな女性に対しても態度はただただ誠実。

それは二人とも心から「人の苦しみを救いたい」と考えているからに尽きるんですよね。

そしてそれは、この時代、女性の地位が低く対等でなかったという背景があるからこそ、体を酷使して人に尽くしている男性に好感を持てるのだと思うのです。

これが現代であったら全く意味がわからないんですよね。

たとえ福士蒼汰であってもそれはただのエロムービーにしかならないのです。  

 

 

治療シーンが超ユーモラス

めっちゃ笑いました。

いやらしさが全くないのは、女性が監督というのもあるんでしょうか。

主に治療に訪れるのは主婦層の品のあるおばさま達。

ヴィクトリア調の綺麗なお洋服を着たイギリスの貴婦人が、診療台で足を広げて治療を受けるのです。

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そんなお上品な方々の快感を得た表情とか、モーティマーが必死にそこを触っている様子とか、「ちょっと見ちゃいけないものを見ている」気持ちと、なのに見てても全然不快じゃない感じが、ごちゃ混ぜになって面白いんですよね。

やってることはすごいのに、めっちゃくちゃ上品。

上品なのに、笑える。

ヒステリーの治療なので、感情を解放させることを目的としている為、その爆発のさせようがまた貴婦人の見た目とのギャップで面白い。

治療シーンが一番の見どころといっても過言ではないです。

これは忘れられないシーンになりましたw

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なんだよこの熱量。 

 

19世紀のロンドンという舞台

この映画の魅力の一つに19世紀のロンドンという舞台映像の美しさがあります。

歴史を感じる街並みや衣装がとっても綺麗。

 

特に印象深かったモーティマーとエミリーのデートシーンがこちら。

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おいおいおいおい、最高かよ。

デートに裾を引きずる布たっぷりのワンピースと紳士なお帽子を被って来るような時代。

どストライクすぎて胸が張ちきれそう!

 

こういった上品でしっかりとした映像があってこそ、この映画が「バイブレーダー誕生秘話!」なんて俗なものでなく、歴史映画として成立させているのかなと思いました。

 

 

「ヒステリー」と女性の自立

上記で全然触れてきませんでしたが、この映画には「バイブレーダーの誕生秘話」と並行したテーマの一つとして「女性の自立」というものが描かれています。

そこで大きな役割を担っているのがシャーロット。というかほぼ彼女だけがこのテーマを引っ張っています。

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演じるのはマギー・ジレンホール。『ダークナイト』の可愛くない方のレイチェルでおなじみですね。 失礼しました。

 

そもそも、ヒステリーとはなんだと。

情緒不安定で攻撃的な女性に対し、今でも使われる言葉、ヒステリー。

そして大概にして良い意味では使われることはないと思います。

この時代、ヒステリーは女性の半数が患っているとされていましたが、その症状は超絶様々。

そんなん言われたら世界中の人間がヒステリーじゃと言いたくなるのですが、当時はその症状が酷い女性は施設へ送り込まれ、原因とされる子宮を取り除かれるというのだから衝撃。

そこに立ち上がり女性の自立や解放を求める活動を行うのがシャーロットです。

 

当時そこまで女性が不安や孤独に襲われ苦しい思いをしているのは、男性が女性を顧みず精神的にも肉体的にも満足させていないことが原因であるとし、父に反発して生きる姿は人から「ヒステリー持ち」と言われるのでした。

彼女のしていることは「ヒステリー」という疾患なのか。

女性の求めていることは、そもそも性的欲求の満足だっけ?

バイブレーションの誕生の一方で、そうった彼女の活動も大きなテーマとなって描かれているのでした。

 

 

まとめ

「女性は男性からしか快感を得ることができない」というセリフも出て来るように、女性自身が欲求を満たすことができなかった時代。

それが医療的な治療として公に恥じることなく満たすことのできるというのは、当時の女性にとってなんと心強かっただろうと思うのです。

届いたバイブを手に取る女性たちの清々しい笑顔ね。

なんかめっちゃ感動的です。

 

今や大人のおもちゃとして世間の裏側でしか見ることのない彼ら。

単純に誕生秘話としてもそうですが、映画としての面白さもピカイチなので男女問わず大人の皆様には是非オススメしたいなーと思います。

明日使えるトリビアになるしね!

 

バイブレーターの進化の歴史を辿るエンドロールも中々見ものです。